世界中で愛されているミッフィーのチャームポイントと言えば、やはりつぶらな瞳と顔にある「×」印ですよね。
この「×」印は鼻なのか口なのか、と疑問に思っている方も多いのではないでしょうか?
ここではその疑問を解決すると共に、この口の形にはどんな意味が込められているのか述べていきたいと思います。
○ミッフィーの「×」印の理由とは?
まず「×」印は鼻なのか口なのか、という疑問の答えは「どちらでもある」です。
本物のウサギの顔を正面からみると、鼻と口がつながって「×」印のように見えることから、
ミッフィーの絵本の中では2つの瞳の下に「×」印の「鼻と口」として描かれるようになったようです。
ちなみにミッフィーのおとうさんやおかあさん、おじいちゃんやおばあちゃんはミッフィーより「×」印の線が一本多いのですが、この一本線が多い理由は「シワ」を表しているから、ということのようです。
ですので、この線は大人にしかありません。
確かにミッフィーやミッフィーの友達にはこの「シワ」を表す線は見られません。
またミッフィーの顔の「×」印は、ブルーナ氏の作品のシンプルさの象徴であるとも言えます。
ディック·ブルーナ氏は生涯において、自分の作品に「シンプルさ」を求め、こだわってきた作家でもあります。
しかしシンプルだからといって、けして簡単に作品を仕上げていたわけではありません。
例えばミッフィーの顔を描く場合、あの「×」印の口を描くだけでも約5分、そしてつぶらな2つの瞳を描くのに約3分の時間をかけて描いていたそうです。
またミッフィーの顔の線はよくみると震えています。
その理由はブルーナ氏が筆をとてもゆっくりと動かして、丁寧に一本一本の線を描いていたからのようです。
シンプルな絵や線の中にも、ブルーナ氏の作品に対するこだわりが垣間見得えるエピソードですよね。
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○シンプルさへのこだわりは「ブルーナカラー」にも!
ブルーナ氏のシンプルへのこだわりは、ミッフィーの顔や口の形だけではありません。
その独自のこだわりは、ミッフィーシリーズの絵本で使われている「色」にも現れています。
カラフルな絵のイメージのあるミッフィーの絵本ですが、実はたった6色しか使われていません。
しかも最初は、赤、黄、緑、青の4色だけでした。子犬や小熊、うさぎや象を描くためにあとから茶色とグレーが追加され、全部で6色となりました。
その6色は「ブルーナ·カラー」と呼ばれていて、それぞれ使う場面が決まっています。
赤は「室内の背景や、幸せで温かな空気のイメージを表現する時」
青は「よそよそしくクールな印象を与え、寒さや悲しみを表現する時」
黄は「太陽の温もりを感じさせる色として」
緑は「私達の世界を彩る、樹木などの自然描写の色として」
グレーと茶は「ミッフィーの友達を表す色として」
ミッフィーシリーズの初期の作品のミッフィーの洋服の色は赤や黄色が多く使われていましたが、それはミッフィーの作品をを通して、ブルーナ氏が絵本を読む子供達に幸せで温かい空気や太陽の温かさを感じて欲しかったからかもしれません。
私自身がミッフィーの絵本の色使いでとても印象に残っている絵本があります。それが「ミッフィーのたのしいびじゅつかん」という作品です。
この絵本ではミッフィーはおとうさんやおかあさんと一緒に初めて美術館に行きます。
あかいりんごの絵や面白い線で描かれた絵などを見てミッフィーは美術館が大好きになります。
「ブルーナカラー」が全て使われているこの絵本では、ブルーナ氏がデザイナー時代に多大な影響を受けたマティスという画家の作品も登場します。
ブルーナ氏がフランスのプロヴァンスにある訪れた際、協会に飾られていたマティスの絵と出会い、その出会いがブルーナ氏のその後の作品に関するインスピレーションを与えられたのは有名な話のようです。
もしブルーナ氏がマティスと出会わなければ、ミッフィーシリーズも他のブルーナ作品も生まれていなかったかもしれません。
ブルーナ氏は他にもピエト·モンドリアンという画家や、「ザ·ステイル」という20世紀の始めにオランダで興った「抽象芸術運動」にも影響を受けたと言われています。
これらの偉大な芸術との出会いが、ミッフィーの絵のシンプルな魅力の原点なのかもしれません。
○まとめ
ミッフィーの顔にある「×」印は、生涯にわたり一人の絵本作家として「シンプルさ」にこだわったブルーナ氏のひとつの象徴のようです。
そんなこだわりを知った後にミッフィーの絵本を読んだら、また今までとは違った感じ方ができるかもしれません。
またこちらには、ミッフィーについてまとめた記事がありますので、ぜひ読んでみてください。